今週の野菜

2019.5.27(月曜日)雲り、最高温度26度、最低温度17度

イメージ 1
                   今年最初の麦刈り

 先ずは、挟間町古市の約4反の麦刈りを行った。ここには、古代小麦・裸麦を植えている。今日、乾燥機に掛けて、明日はトウミを通し、殻を飛ばす。
早ければ来週から麦茶をお届け致します。
麦を刈り取っていたら、近所の農家の方から声を掛けられ、少し裸麦をくれないか、との申し出があった。
聞くと、「最近はどこの農家も裸麦を作っていない。麦茶は何と言っても裸麦だから」
と答えた。むかしの方はよく知っておられる。

市販の麦茶は、かなり焦がして、細かく砕き、パックに入れて売られている。
当然に、除草剤・化学肥料で生産されたものであり、味香りは薄い。
むかし野菜の邑の麦茶は、除草剤は使わず、草木堆肥(低窒素)で育てているため、味は良く、麦の独特の芳香がする味わいのあるものになる。

イメージ 2

 今年は早くもトマトがなり始めている。先ずは、6月中旬頃からフルーツトマトの
出荷が始まる。

イメージ 3

 トマトの初期設定作業をようやく終えた。
太陽に向かって斜め45度に傾けて剪定誘引作業を行う。この後、太い竹の支柱を立て、黒ビニールを張り巡らせる。こうすることによって、強い風でも倒れず、一本の枝が最大5メートルまで伸ばすことが出来る。シーズン中、剪定誘引作業は延々と続くことになる。

イメージ 4

 じゃがいも堀りが始まろうとしている。(5番の圃場)
花が咲き終え、3週間ほどすると、収穫適期となる。枝が横に寝始めたので、来週から新じゃがいもの出荷を迎える。

(今週の野菜)

イメージ 5

白菜; この時季、白菜がある。数年前一度春白菜(やや巻いたものですが)が成功したことがある。その当時よりも巻きが良く、正しく奇跡の白菜となった。
柔らかく美味しい。季節外れの鍋やすき焼きは如何でしょうか?大根と一緒に・・

イメージ 6

空豆; 今年最後の空豆です。殻毎、コンロに掛けてこんがりと焼き、剥いて食べる。
     最高の味でした。塩茹でも良いです。パスタや焼き野菜や煮物野菜に入れ
     たらおしゃれでしょうね。

イメージ 7

コールラビ; 蕪キャベツ。皮は剥いた方が食べやすいでしょうが、煮込みの場合は
         そのままでも良いですよ。炒め物・チンしてサラダに、工夫して食べて
         下さい。

イメージ 8

春キャベツ; 青虫やら夜登虫やら、虫が、兎に角、一杯付きます。
         早く食べねば葉っぱが無くなってしまいます。柔らかく美味しい。

イメージ 9

赤玉葱; 幅二間(360センチ)の軒下に吊しております。中まで赤いです。


(その他野菜)

玉葱・青梗菜・小松菜・大根・蕪・赤蕪・カリフラワー・ブロッコリー・レタス系・サラダセット・漬物などが入ります。

予告;

来週は、3年ほど種を残すため、増やし続けていた島らっきょの出荷の予定にしております。その後、来来週頃から、人参の出荷が始まります。

イメージ 10

ズッキーニができはじめました。来週から少しずつ出荷が始まります。

イメージ 11

空豆が終わり、2~3週間程すると、初夏の王様、インゲン豆が出始めます。


今週の野菜

2019.5.20(月曜日)雨、最高温度21度、最低温度17度

イメージ 1
                 麦畑が黄金色に染まりました

 先週の麦畑から一週間でこんなに色付きました。
今週末には収穫になります。
この圃場は、裸麦です。この麦と古代小麦を併せて麦ご飯セットができます。
また、裸麦を焙煎し、麦茶も作ります。
それから二週間後には、小麦の収穫時期になります。

麦畑の前に立つと、なんだかうっすらと涙が出てきたり、うっとりと眺めてしまったり、
やはり命の糧なのでしょう。農耕民族の血が騒ぎます。
まして、除草剤も使わず、ノン化学物質の草木堆肥で育てた全国にも無いむかしの
農法の麦です。

イメージ 2
                      キャベツの畝

写真だと分かり難いでしょうか、キャベツは外葉を落として、芯の部位を出荷しています。この葉っぱの上に蝶々が飛んでいるのが分かりましょうか。
中々、写真に収めるのが難しいのですが、それこそ、この時季、蝶々が乱舞しております。
当然に青虫が大量発生し、葉っぱを食い尽くします。加えて地中に潜む夜登虫がキャベツの芯に食い込みます。
本日出荷するキャベツの中には、ひょっとして潜んでいるかもしれませんよ。
人が食べるか、虫が食べるか、正に競争となります。
大の虫嫌いの次女がキャベツを包んでおり、キャーキャーと、泣きながら発送をしております。

(今週の野菜)

イメージ 3

ブロッコリー; 虫が付く前の良い状態です。

イメージ 4

空豆; 殻から外し、塩茹で、皮はすでに固いです。そのままコンロに掛けて焼き
     剥いて食べるなどです。パスタなども良いのでは。

イメージ 5

ミニカリフラワー; 独特の食感です。味はしっかりとします。

イメージ 6

葉野菜&レタス系; 青梗菜・小松菜・リーフレタス

イメージ 7

中蕪; 表面に線虫の這った痕があります。硬い場合は、剥いてください。

イメージ 8

スナップエンドウ; 虫が入り始めました。今週の終わりになります。

(その他野菜)

玉葱・大根・サラダセット・キャベツ・白菜・干物・漬物・月一の方には白菜が入ります

イメージ 9
                   ズッキーニの一番果

2~3週間すると収穫期になります。

今週の野菜

2019.5.13(月曜日)曇り、時折晴れ間、最高温度25度、最低温度15度

イメージ 1
          狭間町古市の黄金色に染まりつつある麦畑

 今年の狭間町の麦は今までで最高の出来となっている。
ここの圃場も草木堆肥歴5年目を迎え、土作りが進み、麦の分蘖(ブンケツ)も良く
根張りも良く、穂も太い。
元来、麦は肥料喰いの作物であり、低窒素である草木堆肥では育たないと、県の農業試験場の所長から言われていた。
日本の先人達は、それでも草と葉っぱの堆肥で立派に育てていた。
今年はそれを実証できた年であった。

イメージ 2
          紫色の穂は古代餅麦(一粒小麦)、右は裸麦

 今年は、古代麦1反、裸麦5反、小麦4反、合計1町歩(3,000坪)を植え込んでいる。この麦から、7月頃より、麦茶(自家焙煎)・麦ご飯セット・小麦粉(古代小麦含む)の麦製品の出荷を行う予定です。
特に古代小麦ブレンドした製品からは、今の処、小麦アレルギーは出ていない。
小麦アレルギーに苦しんで居られる子供さんのために5年がかりで取り組んできた
麦の自然栽培がようやく一つの節目を迎えようとしている。

イメージ 3
ズッキーニ

 ここまで育つと、あとは時間の問題で、雨さえ降れば、一ヶ月以内には出荷可能となる。お楽しみに!

イメージ 4
              トマトの初期設定(誘引・芽掻き・剪定)

すでに小さなかわいい実は付いており、このまま順調にいくと、6月中旬頃には初出荷が可能となりそうです。あとは、梅雨の状況次第です。

(今週の野菜)

イメージ 5

サラダ蕪; 表面の傷跡は、線虫が這った痕です。5~10月まで、線虫は活発に
       活動します。この時季にこの傷跡が無いものは、土中消毒をしていると
       考えた方が良い。
       サラダ・焼き野菜・炒め物に適しています。

イメージ 6

春大根; ここにも線虫の活動の痕跡がでておりますね。
      越冬もののようにきめ細かさは無いですが、柔らかく、美味しいです。

イメージ 7

レタス系; サンチュ・サニーレッドなどです。

イメージ 8

サラダセット; 赤ほうれん草・スイスチャート・マスタード・辛子水菜・水菜・ルッコラ
         など、9種類のサラダが入っています。増量でお届け。

イメージ 9

ほうれん草; 柔らかいです。お浸しに、

イメージ 10

絹莢えんどう; さっと湯がいてください。

イメージ 11

空豆; 初出荷です。一般的には塩茹でですが、鞘ごと焼いて中身を取り出すと
     また美味です。

イメージ 12

エシャロット; らっきょうの種類です。根ごとさっと素揚げし、塩のみで頂く。
         炒め物・塩漬け・酢漬けでも。


(その他野菜)

スナップエンドウ・小松菜・青梗菜・玉葱・紫蘇の実味噌漬け・大根甘酢・干物・
ブロッコリーなどが入ります。


今週の野菜

2019.5.6(月曜日)晴れ、一時雨、最高温度25度、最低温度16度

イメージ 1
              自生したカモミールの花が満開

 五月晴れの日々が続いている。
露地栽培を行っている農園としては、週一に雨が降ってくれるとありがたいのだが、
ようやく気候は安定し始めており、野菜の生育は頗る順調です。これは近年なかったことです。
唯、この時季は端境期に当たり、春野菜と夏野菜の狭間になっているため、野菜の種類は限られてくる。
キャベツ・ブロッコリー・白菜(巻かない)・葉物野菜・サラダ野菜は間が空くことの無いように植え付けしており、やや増量にてお届けしております。

イメージ 2
                 じゃがいもの畝(5番の畑)

ジャガイモのの花が咲き始めている。この花が咲き終わり、3週間程すると、新じゃがの季節が訪れる。
これからしばらくは、豆のシーズンを迎え、スナップエンドウ(現在出荷中)・絹莢エンドウと続き、5月中旬頃には空豆が来て、やがて実エンドウに移り、6月頃には、
インゲン豆の出荷となる。同時季には、夏野菜の先陣を切って、ズッキーニが出始めます。
ピーマン・トマト類の夏野菜は、6月末から少しだけ採れ始め、7月からは、いよいよ夏野菜の本番を迎えます。

(今週の野菜)

イメージ 3

にんにくの芽; ニンニクの収穫前になると、芽が出始める。本の一瞬の野菜です。
          炒め物やパスタでどうぞ!
          

イメージ 4

露地ニラ; 今年最初の出荷です。お勧めはお浸しです。洋風の場合はコンソメ
       和風の場合は、昆布・かつを節(和風味)でどうぞ!
       炒め物にする場合は、もやしやニンニクの芽と一緒に。 


イメージ 5
 
ブロッコリー; 花芽が気候の性で大きめに育っております。この時季のものは、
         進みが早く、お早めに料理して下さい。


イメージ 6

エシャロット; らっきょの仲間です。今回は、根を残しております。
         素揚げ(塩を振る)で試して下さい。
         他には、炒め物・お浸し・酢漬け・塩漬けなどの食べ方があります。
 
イメージ 7

スナップエンドウ; さっと湯通しで充分です。天ぷら・パスタなども美味しいです。

イメージ 8

絹莢えんどう; お浸し・お寿司の具材・天ぷら・吸い物・パスタなどに。

イメージ 9

巻かない白菜; 菜っ葉として食べてください。

イメージ 10

キャベツ; 春キャベツですので、柔らかいです。

イメージ 11
 
人参; 多くは肥大して割れてしまいました。


(その他野菜)

小松菜・青梗菜・味美菜・サラダセット・レタス系・玉葱・じゃがいも・漬物
鰺の干物などが入ります。


今週の野菜

2019.4.29(月曜日)雨、最高温度17度、最低温度8度

イメージ 1
               4.28.農園体験会二回目開催

農園ランチは20品以上、120余名の農園バイキング料理となった。
コロッケあり、焼き野菜あり、ピザありで、お腹いっぱいになったようだ。

イメージ 3


 今日の体験会は、気温も最高温度20度前後と、比較的涼しく凌ぎやすい一日となった。前回は熱過ぎてぐったりとなった幼児もいたが、今回は順調に体験会は進み、ゆったりとして一日となった。

イメージ 4


みんなで草をちらばせ、葉っぱを乗せて草木堆肥作り、タイヤシャベルに試乗、大きく揺れる度に黄色い声が飛び交う。スナップエンドウ・葉野菜の収穫、種蒔きの後、おやつタイム。
一時の休憩を挟み、人参・玉葱・ブロッコリーの収穫体験。

イメージ 2


スナップえんどうを摘みとりながら口に放り込む、人参を芯まで食べる子もいたり、
ブロッコリーを摘み取りながら、時々口に入れる。子供達にとっては、畑で採れた
野菜をそのまま口にほおばることなどなかったろう。
今日一日で随分と逞しくなった。
続いて二度の参加者のお母さん曰く、
「お陰様で、野菜を全く食べない子達が進んで野菜を食べるようになりました」と・・

子供さんだけでは無く、お母さんへの食育も兼ねているのですよ。


(今週の野菜)

イメージ 5

春キャベツ; プラチナ級の土で育ったキャベツ。しっかりと巻いており、ずっしりと
         重い。繊維を感じず、歯切れが良く口の中で溶けていく。

イメージ 6

スナップエンドウ&絹莢えんどう
すなっぷえんどうはぷっくりと膨らまねば出荷しない完熟野菜。甘みと旨みがある。
絹莢えんどうは、完熟一歩前のまだ甘さの残ったやや若い鞘を頂く野菜です。
これから3週間は続く。
その後には、空豆が待っております。

イメージ 7

人参; 越冬した人参であり、ゆっくりと育ったため、出荷を待ちきれず、その半分が
     肥大しすぎて割れてしまいました。むしろ割れた人参の方が美味しいのです

イメージ 8

小松菜&味美菜; やや育ち過ぎでした。

イメージ 9

白菜と言うより菜っ葉になりました。暖かく、寒にも当たり、巻ききれず開いております。


(その他野菜)

じゃがいも・大根・レタス系(価格は据え置きで多目の野菜が入っております)・サラダセット・玉葱・アスパラ・葉にんにく・わかめ・麦ご飯セットなどが入ります。

来週はエシャロットが入ります。レシピを。添えます


今週の野菜

2019.4.23(火曜日)曇り後雨、最高温度20度、最低温度10度

イメージ 1
                     春の農園体験会

やせうま」を作り、鍋に投入。粉にしたばっかりの大豆粉をまぶし頬張る。
地粉と古代小麦ブレンドした小麦粉を自分たちで伸ばしている。
堆肥作りの後のむかしおやつタイムの一時です。

イメージ 2
        数々の農園の前菜の一つにビーツのサラダが出た

ショッキングピンクの色艶やかな一品。じゃがいも・糠漬け(酢)他、野菜が色々入っている。

イメージ 3
                  収穫体験の一コマ
これは大根を引いている処。収穫し過ぎて困ってしまいました。

この詳細は、催事他のブログでご紹介します。

兎にも角にも、100人を超す子供さんと家族が集まり、その準備に3日を要した。
皆さん楽しかったようです。まだ来週の日曜日も催され、130余名の参加者の申し込みがある。休みなく準備作業を行ったため、今日は、一日、スタッフはお休みを取った。

(今週の野菜)

イメージ 4

人参; 割れが多く、少し混じります。これはじっくりと冬場畑で育ったため、我慢しきれなくなり、はち切れたもので、実は一番美味しいのです。

イメージ 5

レタス系; サンチュ・サニーレタスが中心です。

イメージ 6

スナップエンドウ; まだ出始めです。全員の方には届かないかもしれません。
          美味しいですよね。イベントの際、一人二鞘しか配れませんでした。

イメージ 7

アスパラ; ようやく全員の方に出荷ができます。

(その他野菜)

じゃがいも・玉葱・葉野菜二種・サラダセット・葉にんにく・大根・色蕪・わけぎ・ブロッコリーなどが入ります。

麦御飯セット・漬物・天然わかめも入ります。

来週は、キャベツ・巻かない白菜が入ります。


農園日誌Ⅱー「活きること」ーPART14ー

2019.4.17(水曜日)晴れ、最高温度18度、最低温度8度

イメージ 1
                          麦畑

 麦作りを始めて4年目、草木堆肥施肥して、5年目の圃場に今までより多目に堆肥を振り、ようやく思っていた通りの麦が出来そうな予感がする。出来は頗る良い。
麦類は肥料を好む穀類であり、低窒素栽培である自然栽培では難かしいため、
年月を掛けて草木堆肥を降り続け、土を育てるしか無かった。
それだけに、手応えを感じた麦作りでした。

ロシアから来たナターシャ、「オー!ビューティフル」と・・・満面の笑顔。


2014年2月25日―地域農業の高齢化と後継者不在

イメージ 3
           草木堆肥の説明をしている処


大分県の佐伯振興局の職員が農業視察団(地域の農業者)を連れて当農園を訪れてきた。
草木堆肥作りから自然循環農業及び高集約農業まで、農園を回りながら一通りの紹介を行う。
残念ながら、皆さん、高齢で今更、新たな形の農業に進むことは難しい。
彼らは、こう言って帰って行った。
「もう10年でも早く、貴方に巡り会っていたら、我々でもできたでしょう」と・・
すでに体力と気力は尽きようとしていた。子供達は皆、きつく、未来の描けない農業を嫌って出て行ってしまった。
日本では古来から、労力を掛けて、狭い農地しか無い農地を最大限に回転させる高集約型農業を行ってきた。そんな日本の実情に合わせて、高集約型農業に見合った付加価値の高い有機農産物などの商品化によってしか、中山間地の農業は存続できない。
にもかかわらず、日本の中山間地の実情を無視して、欧米の大規模農業を模倣し、大規模化・機械化などを推進するとしてきた日本の農業政策の無為無策が地域の疲弊とやがてくるであろう消滅を招いた。
農業後継者を失い、地域から子供の声が消える。
現在も、そして今後も政府は日本の農業及び地域の未来は全くと言って描こうとしていない。
強い国作り・大企業の支援など富国強兵の施策によって、上から下へ水が降りてくるなどと、グローバル化が進む時代ではあり得ない、時代錯誤の政策が未だに進められている。そして、地域は切り捨てられていく。
諦め顔で、去って行く彼らの小さな後ろ姿をみていると、憤りすら覚えてしまった。

イメージ 2


 
「高集約化農業」

イメージ 5
           多品目栽培の圃場の風景

当農園では、一シーズンに最低でも40品目以上の野菜が育っている。一つの圃場(約一反)でも、10~15品目の野菜が植わっている。家庭菜園の大型バージョンと思ってもらえば、分かり易い。
流通を介さず、全て定期購入顧客への直接販売を基本としているため、一農園でも年間100種類以上の野菜が必要となる。端境期に野菜が無いということはしない。そのための工夫、例えば、二週間置きに、同じ野菜を一畝ずつ時間差を設けて種蒔きを行う。野菜を切らさないためには、同じ野菜が時季をずらして4~5畝あると考えてもらいたい。
さらに、寒い時期にはトンネルを掛けたり、剥いだりを繰り返し、成長時期の調整をする。

日本の農業は元来が狭く肥えた農地を最有効に使用する高集約化農業であったが、農協などの指導は国の指針に基づいて大量生産・単一栽培が基本になっており、機械化・粗放農業を示唆してくる。
草木堆肥を施肥し続けた土壌は、年々成長し続けており、肥えていきます。日本の先人達は、何代にも亘って、農地を育ててきた。そんな豊かな土壌は、生命力に満ち溢れており、豊かな農産物を生み出してくれる。
私は、そんな圃場を年間3~4回転させて、四季折々の野菜達を育ててきた。さらに野菜の種蒔きは密集栽培を基本にしている。
通常(農協の指導要領)は、筋播きや点播きなどで、成長の悪い幼苗を間引き、より大きな野菜を作ろうとしている。これが実は間違っていることに気が付いた。
当農園では、ある程度密集した状態を作り出し、大きく育った野菜から間引き出荷をしていく。すると、次に大きく育った野菜から二番出荷として、順々に間引き出荷を続ける。最後は、漬物や自家消費の野菜として活用している。無駄の無いやり方を採用している。
野菜は、ものにもよるが、密集植えをすると、互いに競い合って大きくなろうとする。ゆったりと植えてやると、逆にひ弱に育ってしまう。人間社会と同じなのですね。
その例を大根で説明しておきます。
太めの筋を引き、その筋の中に、大根の種を千鳥状に約7センチ程の間隔で筋蒔きする。すると、競い合って育ち、より大きいほうを一番出荷とし、次に大きいほうを二番出荷とします。この頃、大きく育ち切らないより小さめの大根を間引き、甘酢漬けや糠漬けにします。残ったものを三番出荷とし、ほとんど全ての大根が活用できることになります。これが農業者の知恵です。
 
イメージ 4
      ビニールトンネルの中で育つ極寒のほうれん草

葉物類は、農協の指導要領では、筋蒔きをし、芽が出たらより小さな育ちの悪い芽を2~3回に分けて、間引いていき、5センチ間隔で育てるとある。
これだと、より均一な野菜はできるが、その間引き手間が懸かり、収量は少ない。


単一栽培は、気候変動のリスクが高くなった昨今では、農業者を大いに苦しめてしまいます。
出来過ぎた場合は、大暴落し、出荷する作業を考えたら、逆に損になります。不作の年は出荷量が激減し、いずれも、生活を維持することすらできなくなります。
当農園では少なくとも一シーズンに20~30種類の野菜を育てており、年間通して100種類を超している。リスク分散を図ります。
 
そのためには、安定的に出荷を受けてくれる消費者層が必要となってきます。
当農園では消費者への直接販売を基本にした販売戦略・戦術を立て、市場開拓をし続けております。さらに、直接販売のためには、有機農産物及びその加工品の圧倒的な商品力が必要になります。「まあ、美味しい」ではダメなのです。「毎回同じ商品」を送っていてもダメです。
当農園は、草木堆肥しか施肥しない世界でもおそらくはオンリーワンの農法であり、「糖質・ビタミンに富み、歯切れ良く、味香り高く、旨みのある」存在感のある栄養価の高い農産物を目指しており、四季折々の多彩な旬菜を生産し続けねばなりません。
 
「グループ営農」

イメージ 6
この圃場は、佐藤自然農園で研修を終えて、独立した後藤さんの圃場。
そこで作業をしているのは、みな、独立した農園主達や研修生達であり、他人の圃場に何の違和感も無く、等しく汗を流す。みな、明日は、○○さんの圃場で作業をすることになり、そのことを当然と受け止めている。
一人農業がどれだけ捗らないか、心が折れるか知っているからである。

日本の農業は、一貫して米作中心でした。政府が機械化を奨励し、一人農業ができるようになってきました。その反面、村落単位で永らく行われ続けてきた共同作業、ここでは結いの仕組みが消えていきました。しかしながら、米価は下がり続け、米作だけでは地域農業は維持できなくなってしまい、先の目途も立たない、きつい農業を嫌って農家の後継者である子供たちは、その村落から離れてしまいました。
今では、地域が消えていくのを唯待つしかないわけです。
米作以外の麦・大豆などの穀類価格は内外価格差があまりにも大きく、生産してもわずかなお金にしかなりません。狭い農地での畑作は機械化が難しく、手作業の比率が増えてしまいます。
いずれにしても、一人農業では、心が折れてしまいます。

イメージ 8
広大な穀類畑に草木堆肥を撒き、トラクターで耕し、一作業を終えたメンバー達。もし、
一人でこの穀類畑を耕し、種を蒔き、除草作業を行い、刈り取りを行うとしたら、それこそ、野菜作りをしている時間は取れないし、おそらくは、途方に暮れることになってしまうだろう。

 
 当農園では、現在、4人の青年が働いており、若い主婦も数人おります。ここでは、それぞれが農業者として独立し、「共同作業」「共同加工」「共同出荷」を行っており、その中心に「()むかし野菜の邑」があり、グループを形成しております。現在版、「結いの仕組」です。
農業は本来的には家族経営です。時間外勤務も就業規則もありません。夜の夜中、遅霜が降りるとわかれば、家族全員畑に出ます。農業では、不当労働と言う概念すら存在しません。
農家は個々が頑張った分の収入を得られる独立採算とし、しかも、相互扶助可能な共同作業を行う仕組みが必要となります。
むかし野菜の邑グループは未だ完成形ではありませんが、少なくとも、自然循環農業の元となる草木堆肥施肥の農法は共有化し、農産物の「質の共有化」と「品質の高さ」を維持しなければ、圧倒的な物流を有する既存流通には対抗できません。消費者の高い支持を得ることが絶対的な条件となります。
例えば、当農園のように100種類の多品目生産が無理だとしても、各農家が年間20種類の品質を揃えた野菜を生産し、その農家が5軒揃えば、野菜100種類にすることは可能です。

イメージ 7
               草木堆肥作りも全員の共同作業

剪定枝の破砕機・タイヤシャベル・トラクターなど、堆肥作りに必要な機械器具、油代などは、佐藤自然農園が負担しており、その費用負担の替わりに、出来上がった草木堆肥を一車3千円で購入している。